精索静脈瘤

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精索静脈瘤の治療

精液検査で精子数の減少や精子運動率の低下が見つかった場合でも、多くは原因が不明です。
しかし男性不妊症患者さんの約3割で精索静脈瘤という陰嚢内の疾患が見つかることが知られており、これを治療することで精液所見が改善する可能性があります。

精索静脈瘤は精巣静脈の血液が精巣に向かって逆流を起こすために生じ、陰嚢内の違和感や疼痛などの自覚症状を伴うこともあります。
精索静脈瘤はほとんどが左側に発生します。これは図1に示す通り、左精巣静脈は右側と違って腎静脈に一度合流し、更に左腎静脈は上腸間膜動脈と大動脈との間に挟まれる状態になる(ナットクラッカー現象と呼ばれます)ので静脈血の滞りや逆流が起きやすいと考えられています。
静脈血が精巣に向かって逆流すると、精巣の温度が上昇したり、静脈血中の有害物質が逆流するなどの理由で精子形成能に悪影響を及ぼすと考えられています。
また静脈瘤のある精巣内では細胞を障害する活性酸素が有意に増えていることも指摘されています。

精索静脈瘤の発生機序
精索静脈瘤は成人男性の約10%に認められますが、全例が不妊というわけではありません

静脈瘤は立位での陰部の診察や超音波検査で診断が可能です。治療としては血流の滞りを改善させる作用のある漢方薬(桂枝茯苓丸)を使ったり、手術を行ったりします。手術治療では約7割の患者さんで精子数が増加し、約3割で治療をきっかけに妊娠すると報告されています。
ただし静脈瘤の程度や事前の精液検査の所見などによって治療効果に差があるため、治療方針については専門医との相談が必要です。

精索静脈瘤の手術は逆流している精巣静脈の血流を遮断することが目的です。図2に示した通り、血流を遮断する(実際には血管を切断します)部位によって高位結紮術と低位結紮術に大別されます。低位結紮術は高位に比べて再発が少ないと報告されており、標準的治療法です。
高位結紮術は開放手術と腹腔鏡手術があります。両側精索静脈瘤の症例では、腹腔鏡手術で行われることがあります。

精索静脈瘤の治療

当院で行っている、日帰り・精索静脈瘤手術について

当院では全身麻酔による2通りの日帰り精巣静脈瘤手術を行っています。(術前・術後は経過観察が必要です。)

精索静脈瘤高位結紮術

<保険適応となります>
  約4万円前後

顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術

<保険適応となります>
  約7万円前後

精索静脈瘤の標準的治療法です。
基本的にこちらの方法をお勧めしています。

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